ブレインストーミング(以下ブレスト)が上手く行かない最大の理由は、
「参加者が善意の嘘を用いて会議に参加するから。」
と云うものが挙げられます。
経営コンサルタントとして、何度か社内ブレストに立ち会わせて頂いた経験から書かせて頂きますと、
わざわざ意見を聞く前に「ブレスト方式である」と断らねばならない組織の大半は、そもそも自由闊達な意見交換を行う組織文化を持っていませんし、
組織が未経験の「ブレスト方式」を自身の提唱で導入可能なリーダーは、そもそも構成員に対して優位性を確保する作業を終えているのです。
その為、構成員はリーダーの望む結論を推し量り、その範疇でのみアイデアを出します。
「ブレストをやらせてみたが、誰も画期的なアイデアを出さない!」
と云う結果は、起点である日頃の人間関係のを無視にも起因します。
加えて、アイデアを実行すのは組織の構成員なのですから、自分の不利になる発言は絶対にしません。
・社員を全員クビにしてロボットに置き換えよう!
・従業員のエレベーターの使用は全面禁止にして、お客様の待ち時間を一秒でも減らそう!
と云った、自身の不利益に繋がる(若しくは繋がるであろうと構成員が考える)意見は絶対に生まれません。
反対に、日頃から闊達な雰囲気で運営されている組織では、「ブレインストーミング」と云う単語を誰も知らなかったとしても、
自由な発想に基づく多様なアイデアが産み出されています。
自発性に対するインセンティブ/ペナルティは文化として組織に根付いているものなので、偶発的なイベントでは変える事は極めて困難なのです。
この様に組織改革・改善案を組織のメンバーに「自由に」行わせる、と云う事はある意味酷な面もある手法です。
社長・リーダーは兎も角、構成員は組織での人間関係に依存して生きているのですから。
故に、参加者は必ずリーダーと組織の意図を汲んだ範囲でしかアイデアを提言しないのです。
ぶれすと屋がスポットでのブレスト相手の立ち位置に拘るのは、
利害性を最小限に絞り込む事により、より自由でより飛躍した提言を産み出す為です。