信長の生涯から考える「誰からも救って貰えない人間」の理由 - 無限の地平はみな底辺

信長の生涯から考える「誰からも救って貰えない人間」の理由

2015.4.29|ライフハック 人生 人間関係

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手短に私事を記す。

 

その人は、新しい商売が失敗する度に底辺に対して相談を持ち掛けて来る人であった。

毎度、何か新しい試みを始めるのだが、思慮の不足から必ず失敗していた。

そして、失敗する度に底辺に対応策を求めに来た。

最初は相談に乗っていたが、底辺は何時の間にか彼女の為に時間を割かなくなっていた。

現在その人が何をしているのかは知らない。

 

成功の果実を独占したいから一人で始める。

失敗を一人で解決する能力がないから他人に相談する。

 

その人物の行動原理はただこれだけである。

そして、この行動原理には他者に救済される資格がない。

困った時だけ他人を頼ると云うのは、「美味しい所盗り」の発想だからである。

(少なくとも周囲は全員そう感じていたらしい)

人が人を助けるのは所詮見返りを期待しての事なので、苦境の時にのみ来訪する相手に手を差し伸べる事にはハードルが高い。

「借り」からのみ取引に入る取引相手を信用するのは(見返りを期待するのは)非常な困難を伴うのである。

 

 

もう一つ事例を挙げる。

 

 

 

 

追加事例 (選挙応援)

 

例えば選挙。

底辺の学生時代の級友にも創価学会員が何人か居て選挙前だけ電話を掛けて来る。

無論、彼ら彼女らとは現在何の親交も無いし、過去にどうだったかも記憶にない。

貴方にも似た様な経験があるかも知れない。

これも借りから入って、相手に対して報恩の意思が無いパターンである。

(それが如何なる宗教であっても、熱心な信奉者は施しを受けた相手では無く神に感謝する。 よって貴方が神でないなら彼らに施すべきではない。)

底辺は自分がこの様な振る舞いを無意識にでもしていないか、顧みては嘆息している。

 

 

 

 

予測について

 

人間には予測能力がある。

誰にでもある。

底辺や貴方が愚者と評価している相手にも予測能力はある。

そして、それは人間の行動予測については概ね正確である。

人間は人間を見て、彼の未来の行い振る舞いを予測する力がある。

 

例えば、豪遊している社長を見てその破綻を予測するし、派手な新妻を見て彼女の不倫を予測する。

そして、それらは大抵的中する。

極端にテンプレート化されたキャラクター・アクションは、大体が凡庸人にとってもの予測の範囲で収まる。

世間はその予測を論拠に他者への関わり方を決定する。

 

会社経営者が放言や遊蕩を戒めなければならないのは、それらの行動によって失敗するからではない。

それらの行動を見られる事により、周囲の胸中で勝手に失敗予備軍のレッテルを貼られて、その微細なデメリットの累積によって不利益を受けるので戒める必要があるのである。

 

周囲からネガティブな未来を予測される者は、かならず天運に見放される。

何故なら、天運とは周囲に棲む個々からの微細な応援・好意の集合体であるからである。

 

 

 

信長は何故背かれ続けたのか?

 

更に例を挙げよう。

織田信長が解り易い。

信長は有能で富強で降者に寛容な大名であったが、何故か裏切られ続けた。

勿論、多過ぎる人間的欠陥が裏切られた理由なのだろうが、欠陥の多さなら彼が覇を競った謙信や元就にしても相当な異常人である。

 

信長が裏切られ続けたのは

 

「どうせコイツは生き残れないだろう。」

「どうせコイツには俺を生かしておくつもりはないのだろう。」

 

と思い込まれた(予測された)所為ではないだろうか。

信長は声が甲高い上に言葉のキャッチボールが苦手で、その上若い頃の奇矯な振る舞いは誇張されて世間に喧伝されていた。

に加えて衆道的な性癖が完全に「受け」である事が明白であり、テンプレを超えた異常人であった。

この時代の人間は細川政元や大内義隆の衆道害の末路を意識しているので、信長に対しても同様のテンプレートを当て嵌めて見ていただろう。

 

これが原因の一つとして裏切られ続けた。

と云うのが底辺の推測である。

同類の上杉謙信も生涯に渡って離反され続けた。

この男も信長と同じく、富強で戦争が強く屈強の雄を愛し、尚且つキチガイであり、口では忠臣を装いつつ室町幕府機能を乗っ取った点でも共通している。

(君達が佐竹蘆名の様に恋愛関係になっていれば天下は丸く収まったのではないのか?)

常識的な人物眼があれば、人間関係に継続性を求めるのが困難な相手である。

 

※信玄はセーフ。 俗物であるが故にテンプレ名君を必死に目指したので。

 

実際にリターンの意思があるか否かは問題ではない。

相手がどう思うかが全てなのである。

 

信長にしたって光秀を重用し続ける意思はあったのかも知れない。

だが、そう感じなかったからこそ光秀は本能寺を襲った。

ただそれだけの話である。

(当時一番不遇感を感じていた勝家が信長死後も奮戦するのは皮肉な話である。)

 

行動パターンがあまりにも予測出来ないリーダーは周囲から見て害悪でしかないし、それを誇ってはしゃぐ者に関しては討たれる方が世の為だろう。

 

 

 

 

誰からも救って貰えない人間について

 

 

前項で述べたのは大名の資質についてであるので、「従ってくれるか否か?」が焦点であった。

貴方が経営者で誰かを雇用しているのなら思考の一助としても面白いかも知れない。

だが、このブログを見ている多くの庶人にとってそこは、「雇ってもらえるか? 使って貰えるか?」に置き換わる。

語弊を恐れずに直訳すれば、「救って貰えるか否か?」である。

 

無論、立場は違えど原理は同じである。

他者は貴方をテンプレートに当て嵌めて判断する。

見込みの無さそうな人間・恩を仇で返しそうな人間・後々足手まといになりそうな人間。

そう思われれば、それこそ相手が身内であっても関係を切って来る。

実際に貴方がどう考えているかは問題ではない。

古典に登場するテンプレ裏切者と同様の行動原理を取るならば貴方は裏切者予備軍扱いされるし、

漫画に出て来る詐欺師キャラと似た様な台詞回しをしていれば相手は貴方を内心で詐欺師扱いしている。

 

今の所は裏切られても詐欺を仕掛けられてもいないので、面と向かって貴方をそう呼ばないだけで、腹の底ではレッテルが貼られ終わっている。

そして、周囲の大多数が同様の見方をしていた時には、貴方は特筆すべき落ち度もないまま孤立している。

大多数は同じ感慨を持つ。

何故なら、それがテンプレだからである。

 

重要な事なので繰り返す。

貴方が周囲に救われるか否かは、「周囲が貴方をどのようなキャラクターであるか」によって決まる。

その際、貴方の心中や真価などは問題ではない。

周囲の思い込みこそが全てである。

周囲が貴方を「恩を仇で返すタイプ」と判断していれば、それが貴方である。

救済の望みは無い。

 

実際の貴方が何者であるかなど、誰にも解らない、解る筈も無い。

故に周囲は貴方の些細な言動から貴方のキャラクターをテンプレート化し、把握しようとする。

俗に言う決めつけである。

怖ろしい事に、その決めつけが貴方の命運を決める。

 

救われたい人は、救い甲斐のあるキャラクターを形成して欲しい。

愛されたい人は、愛し甲斐のあるキャラクターを造形して欲しい。

信じられたい人は、信じ甲斐のあるキャラクターを目指して欲しい。

 

徒手空拳の者が生き延びて行くには、残念ながらそれしかないのである。

そして、価値観が急変し続ける現代においては、貴方もまた徒手の者に過ぎない事も肝に銘じて欲しい。

 

漫画を読んでいれば、架空の人物であるにも関わらず幸せになって欲しいor破滅して欲しいキャラが出て来ると思う。

それは人間の好悪を喚起するテンプレートに則って彼らが描写されている所為である。

そして、貴方も他人から見れば所詮漫画に毛の生えた存在である。

せめて破滅を祈られないキャラクターであって欲しい。

貴方のハッピーエンドを祈っている。

 

 

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コメント一覧
  • 人生は舞台である。人は皆、役者。・・・ですか
    自分のキャラ設定て大事ですね。

    強大な事務所がバックに付いてない大根役者が日の目を見ないのは、芸能界も一般社会も同じという訳ですか。


    2015年4月29日 11:19 AM | 山中 一人 |

  • 今回も興味深く拝読させていただきました。
    ご自身も、ひょっとして「底辺」というキャラクター設定なだけで、本当はとてつもない大人物なのでは?


    2015年4月29日 12:41 PM | やす |

  • 自分の性分にネガティブな部分があるならあるなりに演技に徹して隠し通す必要があるのですね。そうしないと周囲の人から疎まれます。

    自分は愛想が悪いと自覚しているので、せめて人前では愛想の良いキャラクターを演じます。


    2015年4月29日 4:24 PM | 匿名 |

  • 山中一人様へ

    「事務所がバックに付いてくれるか否か」
    この段階まで持っていくのが庶人のライフハック術だと考えております。



    やす様へ

    残念ながら、私は無知無学の小僧です。
    丁稚から手代位になれるようには精進したいです。


    4:24様へ

    他人はマイナス部分ばかり見て来る傾向があると思います。
    (私も恐らく他者に対してそうなのでしょうけれど。)
    ですので、自分が意識しているレベルの欠点は表面上だけでも良いので演技で取り繕っておきましょう。

    他人にとっては表面が全てです。


    2015年4月29日 6:26 PM | teihen |

  • いつも以上に極論な感じがしますね。


    2015年4月29日 9:18 PM | 匿名 |

  • 異常者を排出した織田家と上杉家は生き残り、
    名君の信玄を排出した武田家は滅びてしまった
    家が生き残るのは難しいですね…


    2015年4月29日 9:39 PM | 匿名 |

  • 底辺さんはどのようなキャラクターであろうとしていますか?
    またそのために何をしていますか?


    2015年4月30日 2:04 AM | 匿名 |

  • ある程度の演出は出来なくはないかもと思っていますが、最近ほとほと駆け引きは疲れてしまいました。


    2015年4月30日 9:12 AM | 次郎 |

  • 9:18様へ

    申し訳ないです。
    自分でもうんざりしながら執筆しておりました。
    ですが、世界はますます極端になるでしょう。



    9:39様へ

    織田信秀・長尾為景・武田信虎の三者は博打に勝った面子だと思います。
    その息子達は父親から受け継いだチップを賭金にして更なる大博打に挑んだ訳なので、何時かは破綻するでしょう。

    元就の「中国地方の平定で満足せよ」(← これも冷静に考えれば大言ですが)との遺命あたりが一番常識的な発想なのではないかと考えております。


    2:04様へ

    私はもう少し大人でありたいと願っております。
    そのためにも、実践は困難ながら他者に優しくあろうと心掛けています。


    2015年4月30日 9:17 AM | teihen |

  • ああ~わかる気がします
    例えば就職の面接でも、上手いこと忠誠装ってスキルあるように見せかけて…とかしないと雇ってもらえませんもんねぇ~。


    2015年4月30日 9:59 AM | 匿名 |

  • 職場でも、一度キャラが出来てしまうと発言権なくなるというのか、
    正しいことを言っても、仕事が出来るようになっても、意見が取り上げてもらえない辛さを感じることがあり、今は、職場を休んでおります。
    リアルな世界では、逆転は滅多に起こらないし。
    おとぎ話と違って、灰かぶりは、灰かぶりのままで、シンデレラになることは難しいのですね。
    人の良さだけでは、世の中を渡っていけないようですね。。。


    2015年4月30日 11:18 AM | Ryo |

  • 「良くも悪くも胡散臭いねん!」

    私です。ええ、自覚はありますとも。
    鈍臭いのも追加すれば完璧ですね。


    2015年4月30日 12:54 PM | 1000$ |

  • 9:59様へ

    技能は偽装できませんが、忠誠や友愛は偽装可能です。
    (ですから無能者程、友愛を声高に叫ぶのですが)
    せめて誤魔化せる部分は誤魔化して下さい。
    生存の為です。


    Ryo様へ

    評価を変えてくれない(他者の成長を認めない)職場なら替っても良いと思うのです。
    私も「評価の逆転は起こらない」と考えております。
    故に、人間は己を知る(認める)者の為に働くべきですし、自分が離反されない為にも他者の美点を積極的に見つけるべきなのです。


    1000$様へ

    貴方のそういう部分を好きな人間は私も含めて少なくはないと思うので、愛される胡散臭さと愛される鈍臭さを目指しましょう。


    2015年4月30日 7:52 PM | teihen |

  • あれだ、学校で、
    「好きな人同士グループを作れ」とか、
    お弁当タイムにぼっちになりたくなかったら、
    普段から仲良くしておけ、
    という話ですね。

    グループを作るときだけ仲間に入れてもらおうとしてもダメなんだ。
    学校はそういう世の中の仕組みを学ぶ場所だったのですね。

    それと、シンデレラは意地悪な継母にと姉たちにいじめられていたけど、

    もともと金持ち商人の娘だから、
    舞踏会でも最低限の作法に、迷わなかったのかと、わたしは思っています。

    つまり、お嬢様学校で、パシラれていたような感じの境遇。
    でも、少なくとも、「自分を評価してくれる場所に行ったから」逆転したのも事実ですね。
    家の中でどんなに頑張っても、彼女にたいする評価は変わらなかったでしょう。


    2015年4月30日 8:53 PM | 匿名 |

  • こんにちは。
    いつも楽しみに底辺さんの記事を見ています。
    初めてやりきれず悔しくてコメントした次第です。
    これからも辛辣でスカッとした記事を待ってます!


    2015年4月30日 9:33 PM | 底辺さんのファン |

  • 8:53様へ

    >グループを作るときだけ仲間に入れてもらおうとしてもダメなんだ。
    >学校はそういう世の中の仕組みを学ぶ場所だったのですね。

    私もそれは思います。
    機会があれば、若い人向けに「比木谷八幡考察」を書いてみようと考えております。



    9:33様へ

    私の文章には不快な点が多い事と思います。
    ただ、私のブログを利用して「現実世界の不快」を軽減して下されば幸いです。
    貴方の御幸福を祈念しております。


    2015年4月30日 10:33 PM | teihen |

  • >当時一番不遇感を感じていた勝家が信長死後も奮戦するのは皮肉な話である

    ここら辺は、信長への忠誠というよりは、織田家宿老としての勝家の矜持なんでしょうな

    宿老なんてものを置いてしまうと、時に役が勝ち過ぎてまともに運営出来なくなる場合も
    ありますが、代々に渡る教育(洗脳?)により、元から高い忠誠を一族郎党に求め得ると
    いう利点もありますね
    (有名どころですと、大久保彦左衛門の「よい時も悪い時もお家の犬」発言でしょうか?)


    2015年5月2日 7:14 PM | 匿名 |

  • 7:14様へ

    大久保党の忠烈ぶりは見ていて痛ましいです。
    三河独特の村内同調圧力がそうさせたのでしょうか。

    あれを見ていれば、トヨタが三河から生まれたのも理解出来ますし、トヨタと下請けの関係性なども何となく理解出来てしまいます。

    本音を言ってしまえば、古今の三河エピソードを見る度に、「余は三河人に生まれなくて本当に良かった」と感じてしまっております。


    2015年5月3日 10:31 PM | teihen |

  • 信長を裏切ったのは室町幕府に関わりのあった奴らが多いイメージ。
    一言で言えば京都人と官僚は裏切るかも、ということでしょうかw確かにこいつらいっつもどっかで裏切っている気が。


    2015年5月8日 12:40 PM | 匿名 |

  • こちらのブログを拝読し始めて1年ほどの新参ですがなんとなくここ最近の記事に底辺様の迷いのようなものを感じます。
    以前の記事は「底辺の矜持」のような生き残るための勇ましさを感じたのですがそれを失ってはいないものの、何か踏み切れないような何かが引っかかっているような。

    不躾ですが親近感を感じます。


    2015年5月8日 4:18 PM | 匿名 |

  • 12:40様へ

    京都人にしても官僚にしても、「自分が常に主人である」と云う意識がある為、裏切り行為を自らが働く事に抵抗感が薄いのでしょう。
    彼らの感覚では「~は用済みだから切る」なのかも知れません。



    4:18様

    これからも迷い悩み続けて行こうと思っております。


    2015年5月9日 10:40 AM | teihen |

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