従業員が定着しない理由とその解決方法


結論

 

約以上の負担を労働者に掛けないこと。

貴方が購入しているのは労働力であって、彼らは尊厳まで貴方に売っている訳ではない。

 

 

はじめに

 

ブログのコンセプト上、相談はほぼ労働者の方から受ける。

だが最近、経営側の相談を連続して受ける機会があったので、「従業員定着」に関するエントリーを執筆する。

敢えて筆調を荒くしてあるのは、経営側でわざわざこんなブログを読む人間は底辺の底辺感を欲しているからである。

 

最初に念を押しておくが。

昨今言われている「従業員定着率の悪化」などは昭和の好景気期との比較であって、労働市場は流動的なのが当たり前である。

(労働力は商品なのだから、適正価格に向かって推移し続ける。)

かつては、旧通産省の主導によって労働者が定着し易い政策が取られていたから、労働者の腰が重かったのである。

高度成長期に御社に社員が定着していたのは、単に国策の賜物に過ぎない。

 

 

 

御社に従業員が定着しない理由

 

貴方の元で働くことは従業員にとって極めてワリが悪いからである。

人間は損得でしか動かないので、貴方に従うメリットが無いのであれば、他のどこかへ去ってしまう。

貴方が無価値だから従業員が定着しないのである。

去られたことを嘆く前に、今まで在籍してくれたことに感謝するべきではないだろうか?

「貴方の元に」従業員が定着しない理由を書き出してみる。

 

 

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・募集時に提示した給与額を貴方が支払ってない

 

底辺がこの話をしようとすると、全員が一斉に話を遮ってまくし立てて来た。

「いや! 社会保険料の会社負担が!」

と、内容まで同一である。

 

大抵の労働者は貴方ほど社会保険の仕組みを知っている訳ではない。

ざっくりとでも構わないので税引き後の手取り額を最初に伝えておくことが無難だろう。

 

 

 

・仕事の定義が曖昧

 

労働者が働かなくなる原因は

「一つの作業を終わらせてしまうと、すかさず次の作業を押し付けられる」

からである。

 

固定給で働いているのであれば、作業をしない方が賢いので誰も作業をしなくなる。

「給与は固定なんだから、いっぱい働かせないと損じゃないか!」

と思慮のない経営者は一様に叫ぶが、そんな考え方が見え透いている会社が見切られるのは当然である。

(そもそも、世の労働者の楽しみは経営者が損をして悔しがっている表情を見物することである。

こんなに愉快な娯楽はない。)

 

「これを仕上げたら帰っていい。」

「今日のタスクはこれとこれ。 何か緊急案件があればこっちは後回しで構わない。」

 

と明確に指示が出せないのは

貴方が全体を把握出来ていないか、自己の最大利益を従業員相手に獲得しようとしているからである。

従業員はそれを本能で察知して貴方の元を去り、2ちゃんねる等に「ここはブラック企業!」と書き残していく。

このIT化時代にイマイチ機械に弱い人材ばかり集まるのはその為である。

 

 

 

・直属の上司がクソだから

 

「ウチの会社は定着率が最悪なんですけど、○○課長だけは頑張ってくれていて~」

「社員は全員古参なんですけど、派遣やバイトが3日ももたなくて~」

 

↑ こういう話をする経営者は、自分の言葉を活字化して読み返す事をしないのであろう。

言うまでもなく、○○課長や古参社員が後から入って来た人間をやめさせているのだ。

 

そう指摘すると、怒る経営者が多い。

「そんな事はありません! ナントカ君は人格者です!」

ナントカ君が、新入社員やアルバイトにも人格者であれば、貴方は底辺等に相談しなければならない状況に陥っていない。

だがナントカ君は確実に、給与をくれる貴方に対しては人格者を演じ、立場の弱い者に対してはコキ使ったり意地悪をしている。

立場の強い者に諂い、弱い者が自分にそうする事を強要する、人間とはそういう生き物である。

経営者がこのパターンを一度も想定していなかったのなら、それが全ての原因である。

勿論、世の中には人格的修養を積んだ好漢も多いが、彼らは彼ら同士で絆を結んでいるので貴方には関係がない。

 

 

 

・自分より劣った人間に指図されるのはストレスだから。

 

今から書くことは、世の社労士の大半が知っていて語らないことであるが…

チビや不細工に指図されるのはストレスが溜まる、と云う趣旨の話。

 

【自分より育ちの悪い奴や自分より喧嘩の弱い奴、自分より学歴の低い奴や自分より歳下の人間に頭を下げるのは癪である】

 

この法則を理解している人は、法則に従って他者を使う。

例えば、「腕っぷし価値観」のグループを働かせたいのに自分の腕が立たない場合は、凄く腕っぷしの強い忠実な人間を引っ張ってきて自分とグループの間に立たせる。

例えば、「学歴コンプ地帯」で商売する時に自分の学歴が足りない場合は、自分に忠誠的な高学歴者を副官に据える。

など、普通はそうする。

何故なら、自分より劣った人間(実際の優劣は関係ない、相手から劣っていると思われたら貴方は劣等者なのである)に指図されるとそれだけでストレスが溜まり、仕事に差支えが出るからである。

普通は東大を卒業した人間が駒澤大学文学部中退に敬意を持てないし、身長2メートルのアスリートが運動音痴のチビに忠誠を感じることは出来ない。

良いとか悪いとかではなく、単なる摂理の問題である。

別にハーバードへ行けとか、金メダルを取れとか言っている訳ではない。

生物として最低の原理位は踏まえておきましょう、という話である。

 

 

・従業員が家僕の様に扱われている

 

昔、身分の低い人間は「誰かの使用人」だった。

家来とか家僕といった立場を想像して頂ければ良い。

多くの場合、彼らは酷い扱いを受けて来たし、人格的にも踏みにじられてきた。

だが産業革命が起き、『労働者として労働力を販売する』という選択肢が生まれると、その大半が家僕よりも労働者としての生き方を選択するようになった。

私有されるよりも雇用される方が得だからである。

 

故に、如何に務め先がプライベートカンパニーであったとしても

従業員は経営者の一族までに頭を下げたいとは思っていない。

ましてや躾けのなっていない愚童や、経営者が色町から連れて来た妾に使われるなど論外である。

 

その原理さえ弁えていれば、労働者の退去確率は減る。

少なくとも、解っていてプライベート色を見せるのとの、解らずに見られて反感を買うのは天と地ほどの差がある。

 

要は、貴方の親族なんかの養分になりたくないから、労働者が去るのである。

貴方は身内だから、あんな嫁や姑や息子や叔父叔母でも我慢出来るのかも知れないが、従業員にとってはムカつく他人に過ぎない。

 

人間にはプラスとマイナスしか存在しない。

気分の良くなる相手か、気分の悪くなる相手かである。

貴方の親族は大抵マイナスだから、用事が無いのであれば従業員の目に触れる場所に放置するべきではない。

 

「俺の嫁さんは従業員に好かれてるから大丈夫です!」

↑ 貴方のこの発言が、従業員の退職理由の一つである。

 

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これだけ羅列すれば十分である。

要は、契約外の負担がワリに合わないので従業員が去るのである。

 

従業員は貴方から…

古参のパワハラや、アホな親族や、選挙運動の手伝いや、薄っぺらい自分語りを聞かされることや、チビのマウンティング分の給与を支給されてない。

貴方がそれら全ての我慢手当を申し出るか不要要素を取り払えば、ヘイトやストレスが減る。

 

定着率云々は、それらを改善した後の話である。

 

 

自主性と向学心のある労働者が来てくれないと嘆く方に

 

安心して欲しい。

自主性のある人間は、ちゃんと起業して貴方の商売敵になっている。

相手の才知器量が優っていれば、無事に貴方は駆逐される。

結果、業界には優秀で配慮あるリーダーが誕生する。

 

 

人間の価値は時価

 

他の全ての価格がそうであるように、人間の価値も時価である。

多いと安くなるし、少ないと高くなる。

或いは適正価格があるのかも知れないが、貴方の希望額と異なることは確かである。

 

逆から見れば、いま人間が買えないのは。

雇用者としての貴方の価値は下がっている事を意味する。

 

一度、雇用した人間が見切りを付けて去っていくことは。

貴方に貴方が喧伝している程の価値が無かった事を意味する。

 

貴方より何千倍・何万倍優れた経営者が、貴方よりも労働者に物心両面の配慮をして人を集めている。

人間を雇用する、ということは彼らと真正面から奪い合い、比較対象として晒されることを意味する。

 

そういった相場を冷徹に把握さえしていれば、『人手に困る』ことはないだろう。

 

 

 

 

 

貴方の商売繁盛を祈念します。

 

 

 

 

 


 

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17件のコメント

  1. 幸福賢者

    従業員を定着させたければ、他社より高い給料を提示すればいい。
    それ以外の方法なんかありません。

    運動会だの夏祭りだの選挙協力だので合法的にサービス残業をさせているブラック企業を取り締まる方法ってありませんかね?

  2. teihen

    幸福賢者様へ

    【ブラック経営者が選挙で必ず落ちる様に攻撃し続ける】
    【不買】

    のが最短ルートでしょう。
    若い人が居酒屋に行かないのも、それが原因ですしね。

  3. accountant

    記事の主張と概ね重なりますが、一労働者の意見です。

    賃金、拘束時間(業務外含む)、ストレス、居心地 の4要素が不釣り合いと感じたら転職を検討します。

    ただし転職には待遇悪化のリスクに加えて多大なエネルギーを要するので、4要素に改善の見込みがあれば、それを自分なりに見定めてからです。

  4. teihen

    accountant様

    同感です。
    特に拘束時間は、例え通勤時間(本来労働者側の都合)であっても職場感を左右しがちですよね。
    居心地・ストレスに関しては、社会全員が配慮すれば早急に解決しそうな気がします。

  5. Hanta

    チビに忠誠心抱きづらいということが耳に痛かったです。
    どうすれば忠実なノッポの副官を得られるでしょうか?
    別の面で魅了しろということでしょうか・・・

  6. 1000$

    生活版まとめに出てきそうなブラック中小のままで、いっそ笑いました。
    あー忘年会超行きたくない…

    社会保険込みで時給1000円ですが、円をドルにするとちょうどハンドルネームになるんですがね笑

  7. teihen

    11:38様へ

    まさに秀吉がその悩みを抱えた武将でした。
    秀吉は羽柴秀長・蜂須賀小六・竹中半兵衛・黒田官兵衛・千利休といったハイレベルな補佐役を揃えていますが
    最初から忠実な部下であったわけだわなく、「部下役を務めて欲しい」と頭を下げて彼らの上長の地位を得ています。
    有名な例では、徳川家康に【自分の母親を人質に出して臣従】して貰ってます。

    卑屈になれ、という話ではありませんが。
    ここまで徹底した前例もあることを頭の片隅に置いておいて下さい。

  8. teihen

    1000$様へ

    お察し申し上げます。
    (私も宴席が嫌いなので)

    100%事業者だけで食べていくことをいきなり狙う必要はありませんので、まずはご自身の経験・知識をパッケージ化して売り出すようにして下さい。
    未来の1000$様の助けとなるでしょう。

    御好運を祈ります。

  9. TOMIN

    この記事からは、この職場は危ないなといったことも分かりますので、労働者の利益になるような文章になっていることに感心しました。

    ところで、Twitterでのコメントを引用させていただきますが、「閉鎖環境でしかやっていけない人間がオープンな競争に晒されると瞬時に淘汰されてしまう」といった現象を取り上げられておりましたが、逆で、閉鎖環境で淘汰された人間がオープンな競争で戦えるのかなといったことが疑問になります。

  10. じえー

    底辺さんは自分のビジネスに関してちょこちょこブログ内で触れていますが、雇用して(されて)人と組むことはありますか?
    ネットでパートナー(主にフリーランス)を探そうとすると思わぬところで判断に迷う材料が湧いてきて躓いてしまうことがあります。

    一番は金額・納期ですが、後で相手方がワンマン法人であることが判明したり。
    人と組むって難しいです。

  11. teihen

    TOWIN様へ

    恐らくこのツイートですね。
    https://twitter.com/yaruoteihen/status/802794713975640064

    「閉鎖環境で淘汰された」とは、その人が劣っていた事を意味する訳ではなく。
    単に不利な力関係にあっただけであることが多いので。

    不当な制限が無い分、オープンな環境の方が(結果として)有利に働くケースも多いです。

  12. teihen

    じえー様へ

    現在の所、私は発注のみです。
    但し、部分部分でしか仕事をお願いしていないので、「組む」という感覚はお互い希薄だと思います。

    人を探す時の判断材料というものを特に持っておりませんが。
    小さな仕事を丁寧にこなして下さった方との付き合いは、自然に残るような気がしております。

    後、優秀な方は概ねレスポンスが素晴らしいですね。

  13. クソ経営者の卵

    宝の話をしてへんのとちゃうか。

    従業員に穴掘って埋めさせることだけをさせてんのとちゃうか。
    宝が埋まっているということを説明してやらなあかんわ。
    (宝が見つかるとは言っていない)

  14. teihen

    クソ経営者の卵様

    確かに「穴を掘って埋めさせるだけの作業」をさせている方は多いですよね。
    やらされる方は徒労感に苦しんでいるのに…  と。

  15. にゃあべえ

    就職して一ヶ月近くなんとかやってこれましたが、ここまで自分が甘えたがりの人間だとは予想できてませんでした。
    言いたいことは色々あるんですが、一番のところは仕事に関係のないところで他人に飢えている部分がすごかったです。
    コメントに返信してくださる底辺様も含めて、相手をする側には負担がかかりますが、とにかく世話をやいて構ってくれる人が欲しくて仕方がなかったです。
    (ただ、世話をやかれたらやかれたで鬱陶しがる部分にも気づきました)
    どうしたものかという話ですが、本当にそう思いました。我が儘な話ですが、次の職場があるなら趣味の延長線上の仕事ができて、根気強く相手をしてくれる人と働きたいです。
    もしかしたら、問題の本質を外しているかもしれませんが、現在の言い方だとこうなりました。
    変だと思われることもあるでしょうが、とにかく大人になりたくないという感じがします。体よりも心がすさまじくしんどかったです。

  16. teihen

    にゃあべえ様

    気持ち、解ります。
    私もそうです。

    稀少価値のあるスキル・経験を保有しましょう。
    徐々に周囲が気を遣ってくれるようになります。

  17. Name *

    >相手をする側には負担がかかりますが、とにかく世話をやいて構ってくれる人が欲しくて仕方がなかったです。
    (ただ、世話をやかれたらやかれたで鬱陶しがる部分にも気づきました)

    「自分が構ってほしいように構ってくれないから」
    鬱陶しいと感じるのかな?

    他人はこちらの意図を、百発百中読んではくれないものだと思っていた方がよいのかもしれませんね。
    ふつうの人間は、テレパシーがつかえませんので。
    構い方がお節介すぎる人もいるから、なんともいえませんが。

    頑張ってお仕事してるのは偉いと思います。

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