建設途中のこのディストピアで底辺層が強いられる人格修養

ダウンロード


今回のエントリーは経営者でない方にこそ読んで貰いたいので、『自分には関係の無い記事だ』と途中で閉じずに最後まで読み進めて頂きたい。

 

 

器にそれより大きな中身は入らない

 

 

「ウチの部下は使えない奴ばかりだ」、と言い放つ経営者を何人か見てきた。

判で押した様にその人品に難がある。

そして、人格が好ましくない経営者が運営する組織は、一時成功してもすぐに駄目になってしまうケースが多い。

 

「社員が裏切ったからだ!」

「部下が使えないからだ!」

「ちゃんとした人材が手元にあれば、上手く行っていた!」

 

と失敗者は口を揃えて言うが、それは話の順序が間違っている。

まともな人材・有能な労働者はどこにでも居るし、失敗者達もそのカードを手元に置いていた時期があるのである。

ただ、そう云ったプラスの人材はどこでもやって行けるので、下らないリーダーの元には長く居ない。

 

「貴方に我慢をする必要のない人材は、貴方の元に留まらない。」

 

逆に世間から必要とされないマイナスの人材は他に行き場がないので、無価値なリーダーの会社に我慢してしがみつこうとする。

元々、能力的・人格的にレベルの低い人間が嫌々仕事をしているのだから弾き出されるパフォーマンスはたかが知れている。

これが似た様な事業体の出す収益に致命的な差が付く主因の一つである。

 

「この会社が潰れて困るのはオマエラだぞ!」

 

と暴君は社員を恫喝する。

が、これは少し的外れな考え方である。

嫌々我慢している社員が暴君から解放される為には、その会社が潰れてくれるしかない。

倒産すれば、他の仕事に就くエクスキューズが成り立つ。

よって、ブラック企業の社員は潜在的に自社の破綻を望み続けている。

(無論、それが社員の仕事内容に直結している。)

それに、労働者にとってこの世で一番憎い暴君の破滅程待ち望んでいる事態も無い。

例え自分が路頭に迷ったとしても、自分を悪罵し続けて来た経営者の泣き顔が見れるのならば、それはささやかな喜びであるのだ。

暴君タイプの経営者は大半が積極志向だから、ここまで消極的な憎悪が意外に想像出来ない。

想像出来ないから、敵に給料を払い続けている。

想像出来ないから、敵陣に人材を供給し続けている。

そして日々敵を罵り、自分の本来得るべき成果を毀損し続けている。

これが、組織の人間関係の負のスパイラルである。

 

一方、優秀な人材は、競合他社に就職したり業界内で独立もする。

元々優秀なのだから、ライバル社内で活躍したり独立勢力としてもパイを奪う事に成功する。

 

つまり、器が小さく性格に問題のあるリーダーは、強敵を自ら生み出した上に無能で忠誠心の乏しい部下ばかりを残してしまう。

大体がこの構図である。

その手の人種はどこかで高転びをする。

本人が痛い目を見るのは単なる自業自得なのだが、悲惨なのは継承時に後継者がその割を喰う事である。

 

人間性(演技力・演出力も含む)も能力の一部である事を自覚しない限り、その種のロスは発生し続ける。

「仕事は出来るが、人格的に欠点が多い」

と云う在り方は、もはや下士官レベルであっても許容され難くなってきている。

その人格が一般的な感性から忌避される者は、やはり無能者なのだ。

 

 

 

流動性の高いこの現代で

 

言うまでもなく現代社会は流動性が高い。

中世・近世と違って自由主義社会では移動や職業選択の自由が保証されるようになった。

加えて、ネットインフラの発達により、個人が業界・職場・地域の情報を簡単に比較(しかも無料で)出来る様になった。

これは、人類が些細な人付き合いにおいてまで幅広い選択権を持てる様になった事を意味する。

まだ人類がインフラを使いこなせていないだけで、この環境下では恐ろしく自由に人を選べるようになっている。

貴方は誰とでも付き合える上に、どこにでも行ける様になっているのである。

(その自覚の有無は論じない。)

 

逆に言えば、万人が貴方を無視する権利を獲得した、と云う事である。

自由市場で価値の無い商品が売れない様に、自由交際社会でも価値の無い人間は相手にされない。

一昔前の、村八分とかそんなチャチな次元の話どころではない。

人類社会そのものが「何となくムカつく奴」を排除・忌避するシステムに切り替わってきているのである。

 

これは知名度・立場とヘイトリスクが正比例するシステムが時代の流れによって確定化した事を意味する。

(例として日本マクドナルド社長のカサノバ氏が1年で営業利益を98%下落させた事件などが挙げられる。)

従って優秀な人材はステルス戦略・イメージ戦略をより巧妙化させるようになった。

ステルスとは、単にネット露出の有無の話ではない。

自身のネガティブな本音・欲望を抑止・隠蔽・脚色する能力である。

(これらの術は古典から学ぶべきである。 貞観政要や自助論が特に好ましい。)

 

 

 

 

要は、『立場の強い人間への人格監視が厳重化しているので、相応の対策を練る事が今まで以上に必要となった』と云う事である。

「出る杭を叩く」と云うのは人としては些か品性欠如した考え方であるが、生物としては実に正しい生存戦略である。

所詮、同性は全て敵である上に、同種内の生存競争は何時だってゼロサムであるからである。

故に、情報化によって「バッシング権」が平等に分配された現代では、眼前の『出る杭』を一斉に叩く行為が一般化した。

これは一時の風潮や悪弊では無い。

善悪の彼岸にある生物としての摂理である。

 

一昔に比べて、人格欠損者が不利益を受ける確率が格段に高まった。

そして、事業を営む者にとっては、「顧客・従業員が意図せずに連携している状態」での経営を強いられる時代となっている。

つまり、人格面で劣る経営者の蒙る不利益が大きくなった事を意味する。

(しかも、IT時代事体が始まって間もないので、その損害がまだ指数化すら出来ていない。)

 

もはや、人格のみならず、物腰・言動・愛想・生まれ育ちと云った今まで副次的とされていた要素すら能力の主要素となっている。

 

物腰のキツい人間は無能。

言動の奇矯な人間も無能。

愛想の悪い人間は無能。

生まれ育ちの悪さが滲み出ている者は無能。

 

昭和時代であれば、ここまでは言われなかったと思う。

だが、現代社会ではこれらはもはや言い掛かりとも言えない評価基準となっているのである。

 

ここまでで時代の流れが止まれば、

『インターネットのおかげで大衆が悪辣な経営者から身を護る手段が一つ増えました』

と云う牧歌的な話で終わる。

 

だが、残念ながら時代の矛先は大衆に向けらている。

 

 

 

社長じゃないから俺には関係ない、と云う人へ

 

大雑把に言えば、20世紀は大半が社員に組み込まれる社会システムが採用されていた。

当時の経済構造では人民を社員として隷属させた方が社会にとってメリットがあったからである。

一方、21世紀では大半を【社長に追いやる】社会システムが構築される。

現代の経済構造では、人民を事業者として自己責任の名のもとに使役した方が社会にとってメリットがあるからである。

恐らく、フリーターは何らかの形で事業者登録をさせられ、確定申告を義務付けられる。

徴税上の都合で必ずそうなる。

 

かつての底辺は部品として組み込まれて貰えたが、これからの底辺は独立機関である事を強いられる。

現にそうなって来ている。

例えば、すき家がバイトを個人事業主として扱っている実例。

霞が関がこれを観察・分析していない訳がない。

(彼らは極めて優秀である。 無論、皮肉抜きで。)

当然、これを制度化する事は選択肢の一つとして幾案も練られているだろう。

 

このケースが定着・恒常化した場合。

底辺層は事業主として自己負担で労働市場に営業を掛ける事を強いられる。

(パソナやザ・アールは明らかにそこから搾取可能な既得権を獲得する為のロビー活動を行っている。)

その場合、必ず評価点の主要素として人格が取沙汰される。

つまり、20世紀の立場の強かった社長と違って、21世紀の立場の弱い奴隷社長が人格面ですら隷従を強いられるのである。

歴史を紐解けば、一時でも強者への対抗手段となり得た手法は、必ず直後に人民に対する弾圧装置へと改変されているからである。

(共産主義が労働者に対する虐殺装置と化した様に。)

ネット炎上の手法も必ず個々の【社長】の人格を支配弾圧する目的で使用される。

 

無論、時代が先鋭化しない為の努力を各員が行うべきなのであるが、民衆は自分の首を絞めるのが大好きなので、将来の自己への罰則基準を限界まで高める努力だけは決して怠らないだろう。

監視手法と評価・懲罰システムが確立された時に、人格監視の対象は民衆に向けられる。

必ずそうなる。

 

その様な時代の流れで最初に圧殺されない様に、我々無名の自称評論家こそが在り方を切り替えて行かなくてはならないのである。

ディストピアを最初に望むのは何時だって人民である。

そして、真っ先に圧殺されるのまた人民であるのだ。

 

 

 

どうせ僕らはモヒカンと肩パットを用意する事を強いられる

 

 

このエントリーで例示したディストピアが何時完成するのかは解らない。

だが、時代は概ねこの方向に進むであろう。

結局、弱者は組みたくもない徒党を組まざるを得ない状況に追いやられるのだが、

その日に向けて最低限の人格修養は行っておく事を推奨する。

 

と、言っても難しい事ではない。

無用な恨みを買わない物腰や、人材を逃がさない振る舞いを学んで欲しいだけである。

幸い、反面教師なら貴方の周りに腐る程ある筈である。

今の間に大いに鑑にして欲しい。

 

貴方がリーダーに選出されなくとも、これからの社会では個々が部分的リーダーシップを発揮する事が強要される。

その順番が回って来た局所で貴方が破滅しない為にも、現代型の人格修養は必須なのである。

 


 


 

 

About the author /


12件のコメント

  1. 学生

    非常に憂鬱な気分にさせられる記事でした。
    弱い立場の人間にそれに見合わない大きな責任を
    を負わせるというのは非常に残酷だしそのような社会の風潮に怒りすら感じています。
    というのも私はこの記事で述べられているような
    無能な人間そのものであって、仕事もできる人間ではないからです。
    だからこそわかるのですが、仕事に関しても人格に関しても、まして生まれや育ちというのは一朝一夕の修養ではみにつかず、一時は誤魔化せてもいつかはボロが出るものだとこの頃強く感じているものです。
    モヒカンや肩パッドとはいわず、北斗神拳をどこかで覚えられないものでしょうか。

  2. teihen

    学生様へ

    仕事(日常業務)が出来ない人間に北斗神拳(飛躍的向上)の修得は不可能です。
    まずは御自身の周囲で「イイ奴」を探す(最悪ネット上でも良い)努力をして下さい。
    そして、その人物を自分なりに模倣して「好かれるキャラクター」を自分で形作る事を試みて下さい。

    出来ない人間こそ、非金銭的部分で自分を向上させるべきです。

  3. 幸福賢者

    最近従業員に経営者意識を過度に要求する会社が増えましたね。
    経営者ではないから従業員なのに、一体何を言っているのか。
    できる人は会社などに依存しないから、会社には有能な人は集まりにくい。
    そのへんの矛盾を経営者が理解していないのが、実に情けなく感じます。

  4. 名無し

    弱肉強食は永久不変の真理なりと
    人間も生き物である以上逆らえないんでしょうね

  5. 匿名

    最近までニートやフリーターをしておりましたが、
    この度、親戚の助けもあって再び就職することとなりました。

    これに際して、今まで人間関係を疎かにしていたと感じたので
    周りの人や旧友、疎遠になっていた親戚達と改めて親交を深めたり
    交友関係を広げることを心がけるようにしていきたいです。

  6. 匿名

    私が働き始めて20年、底辺氏の論考は、皮膚感覚で実感しています。最も、この傾向は底辺層だけに限らず、私の知る僅かなエリート層でも同様ですが。
    若い人には、勇気を持って立ち向かって欲しいんだけど、それもできない若い人がこの絶望から立ち上がり、立ち向かうのに何が必要なんですかね。私にはまだ、そういう若い人たちに、かける言葉を持てない。

  7. 山中 一人

    >結局、弱者は組みたくもない徒党を組まざるを得ない状況に追いやられるのだが、
    その日に向けて最低限の人格修養は行っておく事を推奨する。

    今回の記事も、現代を生きる我々底辺層にとって最も忌避すべく陰惨な未来図ですが、残念ながら非常に説得力がありますね。

    しかし、いくら頭で解っていても、生理的に無理なものは無理なのです。例えば、男女を問わずブサメン程ビジュアルに気を使う事が生理的にやりたくないように。

    我々コミュ障にとって徒党を組まないと生き伸びれないと仰るのは、精神的な死か肉体的な死かの究極の二者択一です。

    自分は、例えどんなに細い道でも第三の道が在る筈だと信じて生きていきたいです。
    でないと、本当に無限の生き地獄です。

  8. 匿名

    「被害者でいる方が楽なのだ。弱者だから不平を言うのではない。不満をこぼしたいからこそ、弱者の立場に身を置く。彼らは望んで”弱者”になるのだよ。」
    とは、あるゲームの敵役の台詞でしたか。

    自分と向き合えない人間は、結局何をやっても同じ失敗にたどり着く、という事かな

  9. teihen

    9:18様へ

    搾取対象を客から従業員にシフトする対象に移行した経営者が多いと云う事です。
    だからこそ、徒手の人間こそ善きコミュニティを積極的に築いていくべきだと思います。


    1:21様へ

    ブルーオーシャンへ軸足を移しましょう。
    それ以外に生き延びる方法はありません。


    匿名様へ

    御就職おめでとうございます。
    そして、御親族との円満な御関係が続く事も祈念しております。
    大変な事も多いかも知れませんが、どうか頑張って下さい。


    2:54様へ

    私は色々と現代に合致した生き方のモデルケースを作ってみようと思います。
    轍の存在こそが後から来る方への最大の贈り物ですので。


    山中一人様へ

    今回のエントリーは少し悲観論に偏り過ぎてしまったと反省しております。
    もしも道に迷ったら、優しいリーダーを見つけて推戴する事に全力を尽くして下さい。
    それが最高の保身術です。

  10. teihen

    5:22様へ

    ランスロット・タルタロス卿ですね、懐かしいです。
    自分と向き合うのはとても辛い事なので、向き合えない事を責める事は出来ません。

    ただ、もう少し緩い世界を作って行きたいですね。

  11. 1000$

    >フリーターは何らかの形で事業者登録をさせられ、確定申告を義務付けられる。

    マイナンバー制が なかまになりたそうに こちらをみている!
    なかまにしますか?

    →はい
     いえす

    おくたにれいこが なかまにしてやろうと こちらをみている!
    なかまになりますか?

    →はい
     いえす

    「隷属への道」も善意で舗装されてるのでしょうかね?

  12. teihen

    1000$様へ

    「雇用支援」の名目の元に若者を奴隷化する為の政策を推進する輩がおります。
    それに打ち克つには、自分自身がマーケットに対してダイレクトに自身を売り込む術を身に着ける必要があります。

    誰かにフォーマットを作って貰ってからでは絶対に勝てないのです。

あなたのコメントを投稿

メールアドレスは表示されません。*(アスタリスク)は入力必須項目です。