実用書が役に立たない理由  【本の読み方】

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御手元のその書籍が貴方を対象に書かれたと云う保証はない。

 

 

このエントリーではフィクションを取り扱っておりません

 

ブログ内で何度か書籍の紹介をさせて頂いている事からも判るように、どちらかと言えば底辺は本を読む部類の人間である。

無論、毎週百冊以上ペースで読み続けているトップランカ―には遠く及ばないが、

学校のクラスで一番とか学年で一番とか云う卑小なレベルにおいては『読書家』を名乗っても失笑されない程度には読み込んでいるつもりではいる。

(でなければ読書方法の書籍など自分で書かないだろう)

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底辺

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もっとも、今の底辺は実用書と古典の名著以外は読む意欲が残っていないので、このエントリーで語っている本とは「実用書」を指す。

フィクションをお探しの方には申し訳ないがお役に立てないと思う。

何でも女騎士が触手と戦う物語が巷では評判らしいので、一度検索してみる事をお勧めする。

 

 

勝間に罪なし

 

今回、読書に関するエントリーを書こうと思ったのは、

最近、立て続けに

「本なんか読んでも役に立たない」

と仰られる方と会話する機会があったからである。

 

 

愛想でそう言って頂いているのであろうが、

「実用書などより、底辺さんの相談メールの方が遥かに役に立ちました。」

と何度か言われた事がある。

少し、危惧を覚えたので、

「では、どの様な書籍を普段読まれているのか?」

と尋ねてみた。

 

 

帰って来た回答は

「普段本は読まないが、話題になっていたので勝間和代やロバート・キヨサキなどを読んだが役に立たなかった!」

と云う趣旨であった。

勝間女史やキヨサキ社長に罪はない。

選択の段階で、各々にとって役に立たない書籍を手に取ってしまっていただけの話なのである。

大体、日頃本を読まない人間の目に留まる書籍なんて、電通のチラシ以外の何物でもないではないか・・・

 

 

本が生まれるまでのプロセス

 

悪意に満ちた表現で解説をさせて頂くと、書籍には2種類の動機で執筆される。

 

1、執筆者が訴えたい事を書いたもの

2、出版社が売れると見込んで執筆を依頼したもの

 

である。

1と2が相反するからこそ、不遇の執筆者やゴーストライターが大勢存在する。

無論、執筆者が本当に訴えたい事・伝えたい事を出版社が書籍化する事もある。

だが、著名人の名声を充てにして売らんが為の書籍が、「最大公約数」を想定読者層にして作られるケースが多い事も事実である。

(出版社の仕事は出版ノウハウをカネにする事である)

 

大半の出版社では企画会議の段階で、本毎に【想定読者層】が設定される。

【20代OLで情弱層】【30~40代サラリーマンで社会に対する不平が強い層】【大卒の団塊左派で生活にゆとりがある層】など、そこそこ細かく絞られている。

著名人を作者として迎える場合は絞り込みが楽になる。

【池上章に感銘を受けた者】とか【イチローを応援している者】と云った風に著名人のファン層を顧客として想定出来るからである。

特定分野の著名人であれば、知識・経験を披露して貰うだけで業界人にとっては有益な場合もあるのだが、

マスメディア露出で知名度が上がった人間がマス(大衆)に向けて執筆すると(しかも本人が直接執筆していない可能性がある)、極めて漠然とした内容の著作になってしまうのである。

 

出版社を責めてはいけない。

彼らは下がり続ける書籍市場の中で棚を失わない程度の出版数を確保しなくてはならないからである。

(どれだけ手駒が不足していてもシェア維持の為に毎月数十冊を出し続けなければならない。)

時代と合致していない商売で喰っていかなければならないので彼らも必死である。

(しかも時代に対応できる人材は既に独立しているか、最初から紙出版の世界には入って来ない)

 

例えそれが実用書を銘打った物であっても、自分がターゲットではない書籍は実用には堪え難い。

例え貴方がターゲットに含まれていたとしても、出版の企画が販売力に任せて広範な層を獲りに来ている場合は貴方の学習には適さないケースが多い。

「一般的にはみんな高等学校くらいは卒業しているだろう」

こう云った認識で書かれた著書は企画段階で『万人向け』のコンセプトであったとしても、やはり中卒の人間の役には立ち辛かったりする。

汎用品の製造者には断じて悪意はない。

偶然、イレギュラーがその商品を手に取ってしまっただけの話なのである。

 

 

 

 

本を買い求める時にどこをチェックするべきなのか?

 

本を探す時は(それが実用目的であれば特に)、著者の経歴は最初にチェックしなければならない。

そのチェック作業こそが、書籍の傾向を貴方に教えてくれるのである。

 

サラリーマンが自費出版に近い形で出版したのか?

コンサルタントが顧客獲得を狙って執筆したのか?

特定の企業・個人のイメージアップを画策して持ち込まれた企画なのか?

 

例えば、アムウェイ幹部が普通のビジネス本の様なタイトルの書籍を出版したとしても、

その内容は絶対に入会を誘導するような構成になっているだろう。

(それが出来ないならマルチ屋失格である)

予め、著者経歴と目次に目を通していれば

「ああ、これは一種の勧誘だな」

と目星が付くのである。

 

これで腹を立てても仕方のない事である。

世の中には色々な人間が居て、出版に至る動機も人それぞれなのだから。

広範な読者層を想定したつもりのライフハック本でも、執筆者の視界外のイレギュラーは絶対に存在する。

森永卓郎の「年収300万円時代を生き抜く経済学」がベストセラーになったのは、出版サイドのプッシュとは別に

「この本を読めば俺でも300万円も稼ぐ事が出来る!」

と、【300万円】のニュアンスを誤認して購読した層が少なからず存在したからである。

(その中の数人が底辺に流れたからこそ、この誤認があった事実を断言できる)

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底辺層のライフハックと云うのなら、東大から専売公社に入社した森永卓郎よりも、

全国を住込み労働者として放浪しながら最下層の暮らしをしていた底辺の方が現実に即したアドバイスが出来て当たり前であるし、

(底辺の同僚の多くが失踪し、自殺し、中には強盗殺人犯になった者すら居た。 強殺犯の携帯番号は今でも残っているが掛けた所で繋がる事はないだろう。)

森永氏の著書に多少の底辺層の実態との齟齬があった所で彼を責める事は出来ない。

彼は経歴を公表した上で著書を販売しているからである。

東大から経済企画庁に行った人間が最下層の実態を詳しく掴めなかったとしても、それは彼の過失ではない。

そもそも、あの本は【年収300万円以下の人間】をターゲットにした書籍ではなく、

ああ云ったコンセプトの書籍を出す事によって庶民通・現実通・経済通の評価を得るのが彼の目的なのである。

前後の発言を観察していれば誰にでも解かる事だ。

それで仕事が増えたのだから彼は目的を達成しているし、あれから人民の貧困化が進んだ責任は彼にはない。

 

 

「大学を出た人間には中卒の気持ちが分からない!」

とか

「代々の金持ちに貧乏人に助言は出来ない!」

などと陳腐な主張をするつもりはない。

 

 

単に守備範囲は人によって違うと云うだけの話である。

キャッチャーフライボールの貴方をレフトやライトが捕球出来なかったとしても、それは誰の責任でもないのだ。

本を読む時は、貴方が相手の守備範囲に入っているか、を念頭に置いて読まなければならない。

そもそも、読書と云う学習形態を採るならば、自分自身を守備範囲としている著者を探す段階からが読書なのである。

 

 

自分の役に立つ書籍の探し方 (総括)

 

そもそも、不特定多数に向けた書籍を貴方と云う特定個人の益に合致させる、と云うのは無理がある話である。

(しかも、これだけ国民の個々の細分化が進んだ時代に、である。)

 

1、まずは、書籍が誰を対象にしているか? を看破する事。 

2、次に著者が読者に対して何を狙っているか? を探査する事。

3、そして著者自身の力量チェックである。

 

以上の3点を踏まえると、、自分の役に立つ書籍は存在しないかの如く思える。

 

だが、それは一冊で絞り込もうとした場合であり、同一テーマの書籍を100冊揃えた場合は知識吸収の戦術幅が大きく広がる。

 

まだ座右の良著に巡り合えていない場合は、いきなり本命の書籍を探す必要はない。

まずはテーマを絞る為だけの濫読から始めるべきである。

古書店での立ち読みや書籍レビューサイトで、自分の興味のあるジャンルを幅広く流し読むのである。

最初は、読むべきジャンルを選定する段階から始める。

例えば起業に関する最適な指南本を探す場合でも、銀行から金を借りて法人化したいのか、無申告で闇に稼ぎたいかでは行うべきアクションも違えば、仕入れるべき知識も異なる。

まずは第一段階で大まかな傾向を絞り込む事である。

 

第二段階は類書全てをチェックする事である。

図書館で閲覧しても構わないし、古本屋で購入しても良い。

但し、莫大な元手を掛ける事はお勧めしない。

読書は手段であって目的ではない筈だからである。

併行してチェックすれば、そのキーワードのミッションを遂行する時の手順やマニュアルが掲載されている書籍が必ず見つかる。

具体的に体系化されたマニュアルでなくとも良い。

読者の再現願望を意識して執筆されているか否か?

を意識して精査する事である。

 

語弊を恐れずに言えば、良著とはそのジャンルに自分を引き込む事になった切欠の書籍である。

インスピレーションの喚起こそがライフハック書籍の使命であるからである。

アレクサンドロス大王やシュリーマンを奮起させたのが「イーリアス」である。

これこそ良著であろう。

但し、イーリアスだけを読み込んでも戦争には勝てないし遺跡の発掘も出来ない。

当然、大王が自身の戦争芸術を完成させたのはアリストテレスを始めとした最高の家庭教師陣から学んだ実務的学問に由来するし、

シュリーマンが遺跡発掘(実質的には盗掘だが)で成功したのは修めた18か国語学習の成果(密貿易で荒稼ぎした巨万の財貨に比べば大した要素ではないが)である。

 

つまり、日々の業務を遂行する為のマニュアル的な書籍(必ずしも書籍形態である必要はない)をテーマに即してその場その場で見つけ吸収して行かなくてはならない。

当然、自身の成長と共にマニュアルは陳腐化しなくてはならない。

辞典すら、全て暗記してしまった者からすれば無用の長物になり下がるケースもあるのである。

 

テーマ選定用と実務遂行用の書籍を別けて考える事。

テーマ選定用書籍は出来るだけ広範に探し続ける事。

実務遂行用書籍は自分にとっての再現性の有無を前提に探し、自身の成長に合わせて更新し続ける事。

 

今まで、これを無意識にしろ出来ていなかったのなら、書籍は役に立たなくて当然なのである。

舵と帆の区別も付かない人間に船を操れる訳もない。

 

今回のエントリーは極めて漠然とした内容だったと思う。

漠然とした作業であるテーマ選定の更に以前の話だからである。

このエントリーを念頭に置かれた貴方が、より具体性のある方向へ自身を落とし込んで行かれる事に期待する。

 

 

 

 

 

 

書物を読むということは、他人が辛苦してなしとげたことを、容易に自分に取り入れて自己改善をする最良の方法である。   

 

    ソクラテス

 


 


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10件のコメント

  1. 匿名

    テレビを見てると自分の守備範囲と言うか、自分がテレビ側の考える想定視聴者じゃないと感じることが多い
    森永卓郎はなぜかオタク、またはオタク文化通であるかのような顔でテレビに出演して、したり顔で語っているのも、彼の鋭いマーケティングの成果なのだろうね

  2. 三角形

    底辺さん、こんにちは。

    「不遇の執筆者やゴーストライター」の立場にいる者です。

    1と2に加えて、もうひとつ「自己のブランディングのために本を(ゴーストに書かせて)出版したい」人もいます。

    本当は自分の本で儲けたいのですが、無名だと売れませんね。(KDPで売りましたが、数万円にしかなりませんでした)「名前のある先生」が書いたことにすると、売れてるんですが・・・。

    「先生」の自己啓発書は、たいてい本人が書いていませんので、役立たないと断言できます(笑)

  3. teihen

    12:52様へ

    マスメディアの凋落は社会が細分化してしまって、最大公約数を掴み難くなっているのも原因なのでしょうね。
    仰られる通り、森永氏のマーケティング能力にはよく驚かされます。
    (流石は経済企画庁)




    三角形様へ

    貴重な現場からのコメントありがとうございます。
    名前が無ければ編集会議が通らないので仕方ないですね。
    受ける企画を練って、コンセプトを前面に出しても苦しいですから。

    三角形様御自身の書籍がヒットする日を心待ちにしております。
    ご幸運を!

  4. 匿名

    こういう事を意識してると自分が発信者になった時に顧客層を絞る戦略の参考になったり、著者に無駄な労力と時間や金を搾取されずにすむね。搾取されないためには搾取する方法をまずは知る事です。
    著者になれるハードルが下がった今は、出版業界に胡散臭い奴らは増えました。この手の人間は資格系やら聞いたこともない横文字でプロフィールを盛りまくって、センセーショナルなタイトルをつけて本を出してるね。教育系や情報バラエティーの番組に出て知名度を上げて本を買わせたりする人もいます。内容はどっかからパクってきたり、普通の事しか書いてないです。出版されてる本の中には本当にいい本もありますけどね。

  5. 1000$

    似たような主張を出版毎に繰り返す著者には、
    「ワレもの言うのによう一冊にまとめんられんのんかい!」
    などと心で茶々をいれておりますが、
    書籍を主張の媒介物とすれば、新興宗教の本の多さは納得。

  6. teihen

    12:33様へ

    申し訳ございません。
    胡散臭い界を代表致しまして、深く陳謝の念を表します。

    反省の意味も込めて、もう少し弾けてみます。

  7. teihen

    1000$様へ

    人間の言いたい事には限りがありますからね。
    出費に限りがないから、書き続けるだけで。

    しかし、何度もしつこく繰り返したい内容でなければ、誰も本を書かないでしょう。

  8. 匿名

    ゴーストライターいいな〜

    儲かると聞いてるんですが、どうしたらなれるんだろうと思ってました。

    以前、某店舗の店長名のメルマガのゴーストライターはしていたことはありますけども、(上司が校正入れるからがチェックするから全てがわたしの文章ではないけど)
    千円いかない時給の範囲だった人より。

  9. 匿名

    最後の見出し「自分の役に立つ書籍の探し方」の下に文章がないのはなぜなんでしょう?

  10. teihen

    5:28様へ

    自分からガンガン売り込むべきです。
    ゴーストライターに限らず、希望した仕事を獲得しているのはそういう人種です。




    10:51様へ

    申し訳ありません。

    ワードプレスの不具合で正常に記事が出力出来ておりませんでした。
    現在、アップされている文章が正規のエントリーになります。
    御見苦しい所をお見せしてしまい申し訳ありませんでした。

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