国恩に報い得ぬ商売は生業であって事業ではない。 社会は両者を峻別しなければならない。

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無論、丁重にお断りさせて頂いたのだが、

「底辺コンサルティングファームに就職したい」

と云うオファーがあった。

PDF形式で履歴書まで添付して頂いた。

最初は真にも受けず、「最近はこんな芸風の笑いの取り方が流行しているのか」とのみ思っていた。

軽い気持ちでスカイプ通話に応じてみて初めて、先方が本気である事に気付いた。

底辺は慌てて「この通話は就職面接を意味しない」と説明する羽目に陥った。

 

彼には改めて底辺のスタンスを伝えた。

「そもそも底辺はニートである。 極めて遺憾ながら20世紀人の定義する労働に勤しむ意欲が乏しい。」

と云ったニュアンスで。

 

彼の卒業した大学は日本人なら誰もが名を知る一流大学であったし、

所持する資格も立派な物であった。

(彼の自薦文が真実であればの話であるが)

皮肉抜きで、彼の努力や労力に底辺は感嘆させられた。

底辺が彼くらいの時分は薬物治験のモルモットとして、愛すべき大阪藝大の屑共(彼らを見て義務教育課程から美術・音楽を排除する事を堅く誓った)とバーチャファイター2に没頭していたからである。

丁度、ハイスコアガールのハルオの目から見てもなお最底辺の駄目人間と映っていた層を思い浮かべて貰えれば良い。

 

無題

 

 

だからこそ、真剣にキャリアを積み重ねようと努力する人間は、それだけで尊敬に値するとすら考えているし、

同時に「就職のシステム」ほどの初歩を若者に説明していない、彼の周囲に対して無性に腹が立った。

彼に限らず就活関連の相談は底辺の元に寄せられており、

そのどれを読んでも若者に対して周囲が最低限の指導すら施していない様に感じるのである。

 

弊ブログの趣旨からは外れるとは思うが、今回は「就活に関するエントリー」である。

底辺がこの話題に触れる事は悲劇にして喜劇ではあるのだけれども。

 

 

 

 

 

就活の歴史

 

大学は官僚を養成する為の機関である。

(東大以外の地方支所や私塾の話は割愛する)

国家の運営実務には深い専門知識や高い処理能力が求められる。

故に全国から人材を集めて選抜・育成が行われた。

その機能は江戸期においては昌平坂学問所だけで何とか賄えた(タテマエ上は)が、

明治期になり日本を欧州式の法人に移行させる作業(今考えれば難儀な話である)が必要になった時に、大学を東京以外にも設置する必要が出てきたし、

準公職者たる国益的近代産業従事者の育成の為にも多くの私塾が産み出され、大学令により私立大学の地位まで与えられた。

そのプロセスが国家の為に必要だったからである。

かくして、諸国の逸材や逸材と思われたい人間は大学に集い、国家への奉仕を望む人材や国家に奉仕していると思われたいを社会に送り出した。

企業が俸給を高く設定したのは、基本的に官界を目指す大学卒業者を何とかスカウトしたかったからである。

この目論見は見事に成功し、近代日本は西欧産業革命の果実の多くを「産業化して」導入する事に成功したのである。

(遂にはウイスキーまで作って本場の連中に売りつける始末である。)

「正社員としての就職」を起源まで遡って定義付けしてみれば、嫌でもここに行き着く。

 

「国益的産業への従事者には官僚に準ずる待遇が与えられた。」

 

全てはこの名残りに過ぎない。

 

 

 

福沢諭吉曰く、学問をせぬ者(底辺)の生業は~

 

誠に遺憾ながら、底辺の事業には国家性がない。

底辺コンサルティングファームの事業内容は、

「マイクロビジネスのオーダーメード提供」

と云う卑事に過ぎないし、この程度の隙間芸はコルホーズ一区画分の社会性すらないのである。

故に出資を募るつもりもなければ、事業拡大の意図もない。

国恩に報いる力量・人品のない者の生業に、社会が扶助を与えてはならないからである。

底辺は飴や粔籹を売る者に過ぎない。

 

部品としての教育を受けた者は、その用途に合致する機械の歯車となる事にもっと純粋に心血を注ぐべきである。

少なくとも注ぎ込まれた公費分の労力を費やすべきである。

(名指しは避けるが、国家はアニメーター志願者の為に筑波の地に莫大な資本を投下している訳ではない。 誰とは言わないが、思い当たる者は猛省して欲しい。)

社会的意義のない事業体への就業は、就職とは呼ばないのではないだろうか?

少なくとも今の所、底辺は社会に何の報恩も出来ていない。

 

 

 

 

MBA

 

MBAは「資本コストを故意に無視して企業資産を株主に流出させる手引き人を量産する為の資格」であると、底辺は偏見を持っている。

言い方を変えて繰り返す。

「事業家の息子でもない者が多額の自腹を切って経営学修士の学位を求めるのは、他人の会社に潜り込んで企業資産を盗み出し対価を得る事が目的である。」

少なくとも底辺にはそう見える。

原田泳幸などは顕著な例で、この手の人物の派遣は株主が企業価値の切り売りを始めた事を意味する。

代替性のある上場企業は全てこの手でジャンク品に変えられてしまうだろう。

株主(年金運用側の善男善女も含めて)は泡銭を手に入れ、切り売り屋は成功体験を書籍・セミナー化し追い銭まで獲得する。

焼き滅ぼされた王宮の跡地に革命屋の官舎が並び立つようなものである。

 

何故、急にMBAの話題を挙げたかと言えば、現在の産業界は概ね上記の原理で動いており、

便乗するにせよ打倒するにせよ、この流れを知覚していなければ、まともに立っている事すら出来ないからである。

 

この資本主義の変遷(外人がピューリタリズムの仮面すら捨てちゃいました現象)を自覚していれば、

「どの企業が地獄でどの企業が潜り込み易い」

程度の事は容易に想像が付くからである。

(勿論、地獄に潜り込むのは最も容易い)

 

 

就活のコツは世界を俯瞰する事である、とだけ言いたかった。

俯瞰視して不足している部品を見つけ、自身を最適化(或いは最適品に偽装する)すれば、「就職」は出来る。

底辺の計算によればカンカンドーリツ級の人間でも後5年は、この発想で就職出来る筈なので安心して欲しい。

 

 


就活生の皆様へのお願い

 

まずは自分の専攻を国益に還元し得る場所を探す事から始めて欲しい。

もしも不幸にして、貴方の専攻が何ら国益に寄与しない内容であった場合は、

直ちに文部科学省高等教育局私学部私学助成課に通報し、万が一にも公費が流入しないように取り計らって欲しい。

助成第一係 03-5253-4111(内線2545)

 

専攻と関連のない企業への就職を試みる場合は、

「資本切り売り時代の企業にソルジャー採用される」

事を自覚して欲しい。

弱者ぶる事を怠れば殺される事だけは忘れないように。

多分、長続きしないと思うので、後に活かせる普遍的知識・技術の習得に努めること。

これからの労働者は益々、アメリカ人のようなキャリアアップを強いられるので、

勝利確定者(こう思っている人間が一番やばい)であってもレイオフ・リストラ後に備え続けて欲しい。

ドロップアウトとラットレースの損益分岐点はこれから何度か交差するので、自分にとって得な選択はどちらかを常に注意深く見守る事を推奨する。

星新一の小説の様に、淘汰が終わってスペシャリストのみで構成された未来が到来する等とは思ってはいけない。

人間の生命力は極めて強いし、産みださない者のそれは尚強靭だからである。

 

 

 

後書きに替えて

 

予想外に長引いてしまった就活話はこれで終わりにしたい。

何度か書き上げた就活関連のエントリーを読み返しても、

陳腐な一般論の羅列に過ぎず、多くの誰かが既に言い尽くしているであろう内容ばかりであった。

(陳腐は全てのエントリーに共通している特徴であるが。)

 

無論、リクエストには極力応える。

(それが若者の求めであれば尚更である。 でも君達もたまにはオッサンを導くべきである!)

だが、「古い手法をいつまで活用するか」はどちらかと言えば底辺の苦手分野なのである。

以後は新規分野・新規手法の探求に重心を移す。

 

 


 


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11件のコメント

  1. 匿名

    底辺君は極端すぎるんだよ
    マイクロビジネスつくりだって社会的意義はあると思うがな

  2. 1000$

    多様化、あるいは安定期(衰退期)により国民の職業選択に余地があるため
    国家性のないスキマ産業やマイクロビジネスをブルーオーシャンに意義が見いだせるものと考えます。

    また、かつての資本規模一辺倒な企業価値算定が否定され
    規模縮小によるキャッシュインフロー確保と利益率拡大がもてはやされるようになりました。
    これにより、資本コスト削減のためいわゆるリストラが横行しました。

    もはや科学の時代は終わり、付加価値・評価の時代になるなか
    大学あるいは国家は教育なるものを今一度考えてもらいたいところです。

    ア法学部、ボ経済、パラダイス経営、とは愛しき母校でよく謳われたものでした。
    専門性を生かせずに氏ね!と、世間(企業)が言うのであれば
    いっそ大学の顔したかつての日生学園みたいな職業訓練校で
    ソルジャーを生産するのも手なのではないでしょうか。
    それは高校の仕事と言われれば仕舞いですが。

  3. 匿名

    でもさあ文句ゆうわけじゃないけど、底辺君は前にイギリスでメンターに弟子入りするやりかたが流行ってるって書いたよね?  応募して来た人も底辺君の意見に従っただけなんじゃないかな?

  4. teihen

    4:16様へ

    日本の人口は1億3000万も居るのに、私が助力出来るの人数は年間100人にも満たないのです。
    個々にとって何らかの意義があったとしても、国益に寄与しないのであればその事業に社会性があるとは思えません。



    1000$様へ

    高校の授業も真面目に受ければ、十分将校養成カリキュラムなのですがね。
    適性・意欲の無い者を無理に頭数に入れようとする員数主義が日本を駄目にしている様な気がします。


    8:13様へ

    就活を闘う貴方の為の助言  ~就活のオワコン化と現代式徒弟制の台頭について~
    http://kanchigai.biz/%e5%b0%b1%e6%b4%bb%e3%82%92%e9%97%98%e3%81%86%e8%b2%b4%e6%96%b9%e3%81%ae%e7%82%ba%e3%81%ae%e5%8a%a9%e8%a8%80%e3%80%80%e3%80%80%e5%b0%b1%e6%b4%bb%e3%81%ae%e3%82%aa%e3%83%af%e3%82%b3%e3%83%b3%e5%8c%96.html


    の中で、確かにその様な文章を書きました。
    ただ、弟子入り先は「スピンアウトして成功している個の天才」です。
    彼らと縁を持ったのであれば十分キャリアとなりますし、彼らの持つコネの恩恵も受けられるかも知れません。

    重要な点は、スピンアウトとドロップアウトを混同してはならない、と云う点です。
    キャリアを積みたいのであれば、正規のキャリアを積み上げた上でその蓄積の活用に成功し、かつ社会的名声を勝ち取る事に成功した人間に近づくべきでしょう。

  5. 大和桜

    底辺様

    貴殿の主張には概ね賛同しますが一点だけ不満があります。
    今まで貴殿は多くの記事で既存秩序の崩壊とスモールビジネスの必要性を説かれてきました。 その前提に立てばこそメンター探しの一環として履歴書を貴殿に託す若者も現れたのではないでしょうか? 小生の年齢では新しい挑戦は叶いませんが、もしも小生が二十代であればスモールビジネスで生計を立てる為にも貴殿の門を敲いたと思います。 若者の育成と啓蒙に日頃あれだけ心血を注いでおられる貴殿が就活生を門前払いにするのはダブルスタンダードの誹りを免れぬものではありませんでしょうか? 貴殿に深慮があることは一文読めば悟れることです。 ですが今回の就活生への応対だけは小生には意図が解りかねます。 その一事だけ言上したく一筆とらせて頂きました。 

    貴殿の今後のいっそうの御活躍を祈っております。

  6. 那谷

    >>大和桜さん
    >ですが今回の就活生への応対だけは小生には意図が解りかねます。

    私は良くわかるけどなぁ。底辺氏は「賢者は他人を雇うという愚を犯さない」と言ってたじゃないですか?
    私は愚とまでは思いませんが、リスクではあるわけで。でもリスクを取らないと大きく儲けられないですし会社も大きくできませんよね?
    底辺氏は人を雇ってぼろ儲けする気もないし事業を大きくする気もない。雇って貰うなら雇う気があるところに行きなさいということではないでしょうか?

    雇う気がない人に雇うべきだと責め立てるのもどうかと。。。雇う側にも選ぶ権利はあるし、それ以前に人を雇わないといけない義務はないですし。
    サラリーマンでコンサル目指すなら大前研一がいたマッキンゼーとかに雇ってもらうとか、底辺氏のようにサイト作って個人でやればいいのではないでしょうか?

  7. 那谷

    追記

    >部品としての教育を受けた者は、その用途に合致する機械の歯車となる事にもっと純粋に心血を注ぐべきである。

    この部分は納得できないかな。
    国家は国家で莫大な費用をかけて教育しておいて「あー、この部品要らなかったわwめんごめんごw就職先用意できないわwww」てなもんなんだから、それでもなお国に恩義を感じて部品として働けというには無理があると思う。(そもそも部品として働けない)
    莫大な費用が掛かったとしても、国富が海外に流出しない限り金自体は日本のどこかにあるわけでこれを回収するのは容易でしょう。
    一般家庭の貯金が溜まる溜まらない、浪費して損をしたというのとは違いますから。
    それでも国家に報いたいと思うなら、生きてるうちにそれができれば良い。今は借りとく程度の考えで良いと思う。

    底辺氏は何かの影響を受けたのか論調が変わった気がする。国家主義になったというか。底辺氏のスタンスは「部品になるな。それはただの作業に過ぎないし、ビジネスではないからだ」というものだったし、かつてはサラリーマンが職場から収奪する方法とか、マクドナルドの原田社長は理想的なサラリーマン像みたいな記事書いていたのだから、国民が国家から収奪する方法という記事を書きそうなものだけど。国家のために働きなさいだもんな。

  8. きっと何者にもなれないお前らの一人

    底辺氏の論調が変わったというより、単にそれぞれ想定してる人間に合わせたコンサルをしてるだけだと思います。
    今回、応募してきた彼は国家の歯車として超一流のポテンシャルを秘めてる訳で、歯車の用をなさない低属性の方にはまずは自分の身を助けて生き延びろと今まで言ってきているような。
    底辺さんご自身は、確かに国家主義的というか、国益に寄与したいという目標をお持ちしている印象を受けますが。

    自分も15卒なのに暑い中スーツを着たくないという理由で就活をサボタージュしている低属性なので、近いうちに底辺コンサルのご厄介になるかもしれません。
    その時はどうぞよろしくお願いします。

  9. teihen

    大和桜様へ

    現時点ではホワイトカラー徒弟制は社会に認知されていないイレギュラーな選択です。
    ですからこそメンターには認知度・力量に優れた人物を選ぶべきなのです。
    ただでさえ認知度の低い徒弟制で無名の底辺に従事してしまった場合、マイナスキャリアになり兼ねません。
    一流大学に入りA級の資格を取得をした方がマイナスキャリアを積むと云う事は、今までの蓄積を全て捨て去ってしまう事を意味すると私は考えます。



    那谷様へ

    人間にはそれぞれコースがあります。
    防衛大学を出た者は将校にならねばなりませんし、医大を卒業した者には医者になる責務があります。
    教育を受けると云う事は、資格ではなく責務なのです。
    故に、高度な専門教育を受けた者には社会に還元する義務があると思うのです。

    逆に何の恩恵も蒙らなかった方、自分の資質に気付いておられない方にマイクロビジネスを提供し自立を支援する事もまた国益に合致するのだとは思います。

    サラリーマン論に関しては、立場の弱い者が一方的に損失を蒙る状況を好ましく思っていなかったので、救済案の一つとして提示したものです。



    きっと何者にもなれないお前らの一人様へ

    出来れば、貴方の就活が上手く行くことを祈っております。
    勤め人には勤め人の旨味があって、それを経験した上でマイクロビジネスを起ち上げた方が上手く行くので。
    御好運を祈ります。

  10. 匿名

    >教育を受けると云う事は、資格ではなく責務

    教育も無料ではないからねぇ
    金が動く以上、責務は生じて当然と

  11. 匿名

    問題は底辺君が結構有名になってきてる事なんだよ。
    底辺君がこのペースで新しい企画を産み出し続けたらいずれはメジャー化するんじゃないかな?
    特に自腹での懸賞開催や脱亜論はライフハックブログの範疇を越えてる品
    履歴書を送った人は寧ろ賢いと思うよ。

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