
2018年3月19日加筆
「囚人のジレンマの利得表ですが、あの利得表だと互いが裏切ることで互いに不利益となるナッシュ均衡が成立しないと思うのですが…(あれだと双方が裏切ることで最大利得を享受してしまいます)。」
との御指摘を頂きました。
私にこれを検証する知力はないのですが、「囚人のジレンマ 表」で検索してみると、確かに当該画像は他の表とは異なるような気もします。
このトップ画像は、私の愚かさの証として継続して使用することにします。
若い方から「身に付けるべき能力」についてのエントリー執筆を依頼されたので、手短に解説する。
習得は困難かも知れないが、本エントリーでは社会生活を送る上で最も重要な能力についてを解説するので、概要のみでも頭の片隅に留めておいて欲しい。
能力の種別
人間の能力には2種類ある。
群れに貢献する為の能力と、群れのメンバー内から収奪する為の能力である。
その2つに善悪もなければ是非もない。
群れのメンバーとは仲間であり踏み台であるからである。
貢献と収奪は、個々の力関係に基づく損得勘定で行われる。
汚く見えるかも知れないが、他の動物も大体似た様な原理で動いている。
ともあれ、今回は人間の話のみをする。
隣人の定義
貢献能力・収奪能力は本人の性質・生育環境によって伸び方が変わる。
貢献の概念を教わらずに育った者(下品底辺DQNタイプ)は貢献センスが伸びなくて当然であるし、
収奪の概念を教わらずに育った者(上品善良教養タイプ)は収奪能力が乏しくて当然である。
要は、たかが人間の能力如きはそれぞれが認識する世界観によって調整されている、と云う話である。
無論、ちゃんとした環境で育った者は社会が両方の概念で成立している事を教わっている。
故に人間関係で躓きにくい。
貢献型の概念しか教わらなかった者、収奪型の概念しか教わらなかった者は、やはりどこかで失敗している。
世の理を把握し切れていないからである。
「隣人は戦友であり獲物である。」
社会生活で活用していく能力は、この事実を踏まえた上で計画的に育てなくてはならない。
収奪型の社会構造に不慣な人間が収奪用のスキル習得に躍起になっても効率が悪いし、
貢献型の社会構造に無知な人間が貢献型のスキルを習得しても上手く活かせない。
(能力を活かせず失敗するタイプの人間はこの2パターンが非常に多い)
大前提として知るべき事
『社会は収奪を前提とした者と貢献を前提とした者が混在して成立している』
まず、この事実を認識するべきである。
それを踏まえた上で、自身の住まう環境がどの様な構造で成り立ち、隣人がどの様な性質であるかを日々分析し続ける必要がある。
どうしようもない環境であれば、離脱を真剣に考えなければならない。
『どうしようもない環境』とは、コミュニティの存続の為に必要な生産力が構成員の団結を必要としているにも関わらず、構成員の基礎思考が収奪型の場合である。
(本エントリーに田舎バッシングの意図はない)
これは最低の環境である。
国家であれ企業であれ都市であれ血族であれ、この型の共同体は必ず衰亡する。
もしも貴方がそんな『どうしようもない環境』に居るのならば、持ち出せる物(カネ)全てを持ち出して新天地に行くべきである。
義理立ては無用である。
そんな善性は喰い物にされるだけであるのだから。
能力は世界の理解度の組み合わせが産む
世間一般で言われる「有能無能」を産み出す為のスタイルの組み合わせは4つ。
その応対法を把握しておく事が世渡りの秘訣であるし、周囲にどの分類の人間が多いかで自分が注力すべき分野も自ずから決まる。
4つの組み合わせとは以下の通り。
1、収奪能力も貢献能力もある。
2、収奪特化で貢献性欠如
3、貢献専一で収奪意欲・発想が乏しい
4、両方欠如している。
である。
4は論外として、大抵の人間は2か3に分類される。
1のタイプの人間は、自分が1である事を巧妙に隠蔽出来ているケースが多い。
(1でありながら隠蔽が不十分な人間は良くも悪くも才能に頭脳が追いついていないのである)
もしも1タイプと出会えれば、下に付く形になっても良いので上手く懐に飛び込みたい。
但し貢献性はアピールしておく。
危険・有害なのが2のタイプである。
同じコミュニティに居ると厄介で、ひたすら貴方を含めた構成員からの収奪を狙ってくる。
2タイプがリーダーになれば、必ず圧政者になるのでその者の上昇は必ず阻止しなくてはならないし、
その者が平構成員であるなら、暗黙の仮想敵として団結を図るしかない。
3のタイプはコミュニティへの貢献度だけで人間を評価する傾向がある。
このタイプの攻略方法は、能力的にコミュニティに貢献し得ない場合は最低でも忠誠を示して置く事。
万が一の保険となる。
4に対して決して攻撃的な態度を取らない事。
収奪型が貴方に攻撃姿勢を取る口実を与え兼ねないし、貴方が共同体の敵であると貢献型から認識され兼ねない。
以上の構図をどのような状況でも当て嵌めれるように、常に考察し続けておくこと。
無論、組織に入ったり取引したりしてから考えるのではなく、外部から見当付けして参入・提携に相応しいコミュニティか否かを判別出来るようになっておくこと。
この観察力・洞察力を養っておかなければ、大抵の事は上手く行かないし、上げた成果が消失するケースすらある。
人間に必要な能力とは、人間の主敵である人間個々のスタンスを判別する能力だけである。
後は余事に過ぎない。
後、底辺の様に評論家気取りで蘊蓄を語る者にロクな人間は居ないので、この手の人間には絶対に気を許さない事。
そして貴方は、本エントリーの構造を意識している事を絶対に誰にも悟られない様に心掛けなければならない。
[subscribe2]
人間の行動の多くはゲーム理論で説明出来てしまうし、現時点で説明出来ていない人間の行動パターンも、ゲーム理論を学んだ誰かがそのうち解説するであろう。
貴方に何らかの事情があって学問の進歩を待てないのであれば、底辺にお尋ね下さっても構わない。
収奪意欲も貢献意欲もない(能力がないとは言っていない)はどこに入りますか?
たぶん4だと思うのですけど、基本的にこういう人ってニートに多いですよね。
ということは「4に対して決して攻撃的な態度を取らない事。」というのは「ニートを苛めるな」ということなのでしょうか?
2014年9月18日 3:14 AM | 多那 |
多那様へ
もっと根源的な話です。
共同体(或いは他者が共同体の範囲だと信じている世界)の中で攻撃意志の乏しい者に対して、攻撃的姿勢を取るリスクの話です。
2014年9月18日 8:12 AM | teihen |
極端に考えると、収奪型=起業向き、貢献型=組織向きという印象を受けたのですが、いかがでしょうか?
将来独立を志望しているのですが、貢献型に偏っているので気になる所です。
2014年9月18日 8:51 AM | 匿名 |
8:51様
ですが、敵陣から収奪するよりも自陣で横領する方がリスクは少ないです。
故に、多くの人が「就職」を希望するのです。
※貢献度以上の報酬や既に他人が確立した名声を収奪する為にです。
起業をお考えであれば、
「他人でありながらも共同体的な存在(営業先や地元)は何か? そして何が出来て、妨害者が発生するとすればどの様な状況下でか?」
を強く意識するようにして下さい。
2014年9月18日 12:18 PM | teihen |
収奪と貢献の両方をバランスよく使い分けるのは底辺さんみたいな超人じゃないと難しいんでしょうね。
某国産動画サイト会社の会長が「起業すると性格が悪くなる」と言っていたのを思い出しました。
元々は貢献型だった人が状況に適応した結果として収奪型を身に着ける場合が多いんでしょうか。
2014年9月18日 12:36 PM | 匿名 |
アダム・グラントの「GIVE & TAKE」より、この話のほうが腹に落ちた。
2014年9月18日 12:38 PM | 1000$ |
>>『どうしようもない環境』とは、コミュニティの存続の為に必要な生産力が構成員の団>>結を必要としているにも関わらず、構成員の基礎思考が収奪型の場合である。
ふはははははははは!
…其の節はありがとうございました。
2014年9月18日 1:40 PM | 中村K |
多分、うまくいっている人というのは、
貢献と収奪の概念を両方もっているうえで、
「恨まれない程度に収奪する」
やり方を意識的にしろ無意識にしろしている人じゃないかな、と。
たとえば、「カンパを集める」のも一種の収奪行為だと思うんですけど、
相手に無理を敷くような金額は要求しない。
あるいは、同情を得るのがうまくて、
「カンパしてやりたくなる」気持ちにさせるような。
もしくは、「カツアゲしても帰りの電車賃だけは残しておいてやる」
ような、
相手にとって大きなダメージとして記憶されない程度に
手加減して収奪するような。
そこらへんのバランス感覚とか、
人の感情の機微をつかんでうまく立ち回れるのが
収奪の能力
なのかな。
2014年9月18日 7:08 PM | 匿名 |
13:36様へ
収奪・貢献の使い分けは所詮は皆が自身を取り巻く力関係の変化に応じて使い分けております。
ただ、殆どの方が自覚も出来ないままそれを行っているので、無用な憎悪や嘲笑を買っているのです。
私はボンクラなので収奪も貢献も出来ません。
それが偶々バランスよく使い分けているように映ったのでしょう。
例え僅かでも、社会に報恩出来る人間になりたいと日々願っております。
1000$様へ
お役に立てたのであれば何よりです。
「ギブアンドテイク」に関しては「フリー」の二番煎じ臭を感じたので敬遠しておりました。
機会があれば目を通してみようと思います。
中村K様へ
貴方にとっては不快な一節だったと推察します。
リスクなき離脱に成功される事を祈らせて頂きます。
どうしても状況が好転しないようであれば、一声掛けて下さい。
7:08様へ
私はこの道の名人として北条早雲を挙げます。
恐らく、当時の伊豆の住人は自分が搾取されているのか庇護されているのかすら判別出来なかった筈です。
善悪・利害の彼岸を超えた者こそが1であり、この手の天才とは絶対に争闘に及ばぬように心掛けて下さい。
「オープンカードで戦いながらも手の内が微塵も読めない者」
超越者とは、こういう人間です。
2014年9月18日 7:52 PM | teihen |
底辺様
今回のエントリも興味深いですね。
以前も仰ってた通り最初に必要なことは現状認識、この世の理を知ることなんでしょうか。
今回は下記2点質問がございます。
1)つい滲み出る攻撃性を隠す方法例には何があげられますか?
※もともと何も無い状態から紆余曲折を経て3の共同体にもぐりこんだので。
2)区分2の人間が3の共同体で成果を挙げ続ける場合と独立する場合、どちらも下記思考 フロー:①~③が必要(後者は「所属する」→「相手先」)と判断します。
④~⑥の場合両者のタスクでどのような差異がありますか?
(うまく表現できません。比べようが無いのですが)
それともやはり共同体に大きく左右されますか?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
①まず共同体全体の利益・目標を認識する
→例)所属する会社
②次に自分の所属する共同体内の組織の利益・目標を認識し己の行動規範を定める
→例)所属する部署
③上記範囲で自分の目標を立てかつ欲求をみたす様に実行する。
※両者ともに自分の欲求を満たすのが肝要。
-------------------
④自分の欲求を満たす目標を立てる
⑤上記範囲内で所属する共同体内の組織の利益・目標を認識し行動規範を定める
⑥共同体全体の利益・目標と上記を照合し自分の不利益にならないよう行動する
------------------------------------
駄文ですがこの世界に生きている以上は誰もが手足の鎖を断ち切れないわけで、目の前の餌を掴み取るために人は鎖を伸ばして足掻いている様に感じます。
2014年9月19日 2:05 AM | 義龍 |
訂正です。
>※もともと何も無い状態から紆余曲折を経て3の共同体にもぐりこんだので。
→日本で5対満足で生まれた時点で上記は違いますね。
ただ自分の持っている物に気づいてなかった、忘れて怠けていただけです。
失礼しました。
2014年9月19日 2:11 AM | 義龍 |
義龍様
御無沙汰しております。
早速、御質問に回答させて頂きますね。
1)つい滲み出る攻撃性を隠す方法例には何があげられますか?
立場の強弱によって、こちらの態度を変えない事です。
初歩的な人間性の見破り方の話なのですが、
『その人物が自分より立場のい弱い人間相手にどう振る舞うのか?』
を観察すれば、大体その人物の育ちや感性は解ります。
飲食店の定員やTV番組の「叩かれ役」にどんな表情で接しているかを観察するだけで、9割がたその人物の感性は理解出来ますし、勝手に規定されてしまいます。
コミュニティ外辺の人物との接触でボロを出さない事に集中して下さい。
飛び込みセールスマンの断り方や下請け業者への挨拶姿勢などは、特に観察されている事を自覚して下さい。
2)区分2の人間が3の共同体で成果を挙げ続ける場合と独立する場合
記事中でも少し触れましたが彼我の力関係が全てです。
「勉強しろ」「副業を作れ」「仕組みを理解せよ」と言われるのも、結局は自分の立場を劣位に置き続け無い為の手段に過ぎません。
こちらが強ければ、自然に周囲から収奪する事が可能ですし、周囲に貢献を強いる事も可能です。
こちらが弱ければ立場は逆になります。
まずは力関係の把握ありきです。
自分と共同体と構成員の戦力比を冷徹に分析した後で、改めてフローを組みましょう。
極端な話、飛び抜けて強ければ自由自在ですし、弱い者には隷属か逃避以外の選択肢がありません。
こちらが圧倒的であれば2でも3に居座れます。
構成員の総力に劣っている場合は、排撃対象となるだけの話です。
2014年9月19日 9:01 AM | teihen |
ほう、底辺君が「ら抜き言葉」を使うとは意外だね
2014年9月20日 11:10 PM | 匿名 |
11:10様へ
「ら」は抜いても「て」を抜かないように心掛けます。
2014年9月21日 12:04 AM | teihen |
北条早雲について、少し調べてみようと思いました。ありがとうございます。
永井豪氏の漫画があるようですね。
〉搾取されているのか、庇護されているのか
ええっと、敗戦国に食料支援をしたうえで、軍事基地を置くお米の国。。。!?
おっと、発言まずいですかね?
批判してるわけではなくて、そーゆーものだよなあ、と考えてるだけなんですけども。
北の方の国から攻めこまれても嫌ですし。
ところで、
〉善悪・利害を超えたものこそが1であり
「善悪を超える」
はなんとなくわかるのですが、
「利害を超える」
とは?
目的のためには自分や身内を危険にさらすことをいとわない、
というようなことでしょうか?
なんとなく、
善悪も利害も超えた者として、「進撃の巨人」のエルヴィン・スミス隊長が思い浮かびました。
彼は人類存続を「善」と定義しているともいえますけど、
部下や市民や自分の命さえも、
そのための作戦のコマと考えている節があるから。
戦国の武将が、
天下統一を果たせば人々が幸せに暮らせる世の中が来る、
そのためには多少の犠牲はやむをえないと考え
敵方に身内を嫁や人質に出したり、
逆に人質や敵や間者に惨たらしい行いもできてしまう感じかな?
2014年9月22日 8:56 PM | 匿名 |
8:56様へ
>「利害を超える」とは?
図抜けた人間の行動は、それが利益の為なのか自己犠牲なのかすら判別出来ないものなのです。
エルヴィン隊長って、まだ「異常性」が視認出来るでしょう?
まだ彼は善良なんです。
でも、図抜けた人間はちゃんと常人の皮を被った上で、行動が読み取れないし、凡人には「行動が読み取れていない」と云う現状すらも認識出来ないのです。
永井豪は講談なので、2ちゃんねるの歴史版に目を通される方がまだマシです。
2014年9月22日 9:19 PM | teihen |
永井豪は講談なのですね。アドバイスありがとうございます。
正直、北条早雲というひとのことをよく存じ上げなかったので、
Wikipediaをみてもよくわからず、
(年貢を取り立てた率が他の領主にくらべて低かった、というのはわかりましたが)
まずは漫画から入った方がわかりやすいかな、と思ったのですが、
もし漫画を読むとして、講談であるということを念頭に置いた上で
ざっくりとその生涯をつかみ、そのうえで2ちゃんねるなり、
司馬遼太郎なりを読んでみようかと思いました。
エルヴィン隊長はまだ、善良なだったのですね。私に思い浮かべられるのはそれが限界でした。
その行動が、自己犠牲なのか利益のためなのか判別できない、
常人の皮をかぶった図抜けた人
そういう人がいるという概念を知っただけでも斬新でした。
でも凡人未満の私には、とてもその見分けがつきそうにない(笑)
2014年9月23日 4:42 PM | 匿名 |